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信仰か。それとも、人命か。 [法律]

本日2度目の更新です。

日本輸血・細胞治療学会など関連5学会の合同委員会が、以下の指針を決めたそうです。

それは、信仰上の理由から輸血を拒否している“エホバの証人”信者への輸血について、

15歳未満の患者に対しては、信者である親が拒否しても救命を優先して輸血を行うというものです。

 

この問題ってもの凄く微妙でもあり、難しい問題ですよね。

だって、医療現場は、当然のことながら、

輸血をしなければ死んでしまう患者を見殺しにするなんてことはできませんよね。

医者としては当然ですよね。

 

でも、最高裁が7年前の2000年この件に関してある判決を出したんです。

東京大医科学研究所付属病院で92年、

他に救命手段がない場合には輸血するとの方針を女性信者に説明せずに手術が行われ、

無断で輸血した病院と医師に損害賠償の支払いを命じたものです。

この判決理由の骨子は、

“説明を怠り、輸血を伴う可能性のあった手術を受けるか否かについて意思決定する権利を奪った”

というものです。

 

それゆえ、大阪の病院で5月に帝王切開で出産した妊婦さんが大量出血し、

止血はできたのですが輸血を拒否し亡くなりました。赤ちゃんは、無事だったようです。

この病院では、最高裁判決に基づいて

信仰上の理由で輸血を拒否する患者に対するマニュアルを策定済みで、

女性本人から“輸血しない場合に起きた事態については免責する”との同意書を得ていたそうです。

また、容体が急変したので家族にも輸血の許可を求めたが、家族も女性の意思を尊重したそうです。

でもやっぱり、現場の医師や看護師からは、

“瀕死の患者を見殺しにしてよかったのか”と疑問の声も上がっているそうです。

 

でも、病院側としては、輸血をした場合訴えられてしまうかもしれないので、

こうしたマニュアルって必要なんでしょう。

しかし、瀕死の患者を見殺しにせざるを得ない現場の気持ちも考慮するべきですよね。

 

98年に、当時の日本輸血学会は、

12歳未満では両親の反対があっても輸血などの救命措置を優先するとの指針をまとめたそうです。

18歳以上は本人の意思を尊重した対応を取る。

その中間年齢の12~17歳については対応策を示さなかったが、

小児科医などから方向性を示したほうが好ましいとの声が上がっていたので、

合同委員会は、自己決定ができる年齢として、

義務教育を終え、民法上で遺言のできる15歳以上が適切と考えたそうです。

なんでも、エホバの証人の信者が輸血を必要とする治療例は、

全国で年間1000件程度発生し、約1割が15歳未満と推定されているからだそうです。

 

でもね、これってあくまでも病院(経営)側の考えなんですよね。

現場の声は、ほとんど入っていないんですよね。

この指針が通ると、従来11歳以下までの患者については、

いくら保護者が輸血を拒否しても治療上必要であれば輸血ができるというのが、

14歳まで引き上げられたという面はあります。

でも、抜本的な解決には到っていないんですよね。

現場の医師や看護師の苦悩の日々は、これからも続くということですかね。

 

あたくしは、昨日書いたように仏教徒ですから、万が一の時には輸血をして貰うのは構いません

幸いなことに、献血はしても輸血の経験はありませんが、

でも、あたくしの場合“まれ血”なので、普通の血液ではダメなんですね。

ABO式だと、A型ではあるんですね。でも、Rh式が“D亜型”という型なんです。

なので、赤十字から血液型証を交付されています。

いつも定期入れて持ち歩いているので、万が一の時には、赤十字に連絡が入ると思います。

また逆に、あたくしと同じ型の血液が急に必要になった場合、多分献血の要請が来ると思います。

その時は、当然協力をしますよ。

だって、あたくしが逆に助けて貰う場合だってあり得るんですから。

 

ちなみに写真は、その血液型証です。

 

 

といったところで、今日は終わり。また、あした。


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あらあら、こんなものまで [法律]

今月になって色々なものの値段が上がっていますね。

マヨネーズ。トイレットペーパー。ガソリン。そして、住民税。

住民税なんかは、所得税が減らされた分だけ住民税が増えるなんて言っていますけれど、

去年まで行われていた定率減税の廃止分を含めて税額が増えるので、

国税の所得税と地方税の住民税を合計すると、100%間違いなく増税になっています。

あたくしも今年の住民税の額を試算をしてみたんですけれど、

そしたら、去年と比べると大体1万円少しUPしてました。

ここまで割と長めに書きましたけれど、今日は税金のお話ではありません。裁判のお話を書きます。

 

日本でも、2009年5月からおよそ60年ぶりに陪審員制度が復活します。

え?なんですか。裁判員制度を新しく導入するの間違いだろうですか。

いいえ違います。名前こそ違えども、陪審制度の復活で良いんです。

戦前の日本では、法定刑が死刑か無期懲役の場合の限って、

陪審員による裁判が行われていました。

陪審制にするか通常裁判にするかどうかは、事件の当事者が選択できました。

 

この陪審法、昭和3年10月1日に施行されましたんですが、

昭和18年4月1日以降は“陪審法ノ停止ニ関スル法律”により、施行が停止され今に至っています。

なので、施行停止中とはいえ、現行法のひとつでもあります。

ちなみにこの法律の附則第3項には、

“陪審法ハ今次ノ戦争終了後再施行スルモノトシ其ノ期日ハ各条ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム”

との規定があるのですが、新たに裁判員法が定められたこともあり再施行されることはないでしょう。

 

でもね、わざわざ裁判員法(正式には、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)を制定するよりも、

戦前の陪審法の停止を解いた上で、改正することで対応しても良かったのではないかと思います。

ちなみに戦前の陪審裁判は、484件が行われ、うち無罪判決が81件出たそうです。

無罪率、16.7%という非常に高い数値です。

 

話しを2007年の現代に戻すと、最高裁が先日ちょっと気になるデータを発表しました。

全国の地裁で昨年、1審判決が言い渡された刑事事件で無罪となった被告は92人で、

1994年以降、過去13年間で最多だったというものです。

あくまでも、地裁判決が無罪だったというだけで、

この92人の被告全員に対する確定判決が無罪となったどうかはわかりません。

だって、日本は3審制を採用しているので、地裁で無罪判決が出された場合、

検察側はよほどのことがない限り控訴します。高裁で、逆転有罪判決が出されることもあります。

また場合によっては、最高裁へ上告する場合もありますけれど、概ね2審の高裁判決で決まりです。

 

この92もの無罪判決ってものすご~く多い数字なんですね。

だって日本の刑事裁判の場合、実際に起訴されてしまった場合ほぼ間違いなく有罪になるんですね。

確か、起訴された場合の有罪率は、99.99%だったと思います。

それは、検察官が有罪にするには証拠が足りないと感じた場合や、

被害者側との示談が成立した場合などには、

不起訴や起訴猶予処分をすることがあるからなんです。

逆にいうと、起訴をされてしまったらよほどのことがない限り、有罪になります。

ただ、判決が出されるまでの被告人は、

あくまでも無罪であるとの推定がなされてはいるのですが……。

でも無罪というのは、無実であるというわけではないんですよ。

無罪=無実と捉えられがちですが、有罪にするだけの証拠がないから無罪というだけなんですよ。

中には、無実の罪で起訴をされた人もいるかもしれませんが、

“シロ”ではなく、“グレー”で無罪という場合が多いと思います。

 

ちなみに今年は、3月末の時点で46人が無罪判決を受けていて、

93年以来14年ぶりに100人を超えるかもしれないとのことです。

3ケタ104人もの無罪判決を記録した翌年の94年から2002年までは、

毎年30~50人程度だった無罪判決が、

その後徐々に増加傾向になり、92人もの1審無罪を出した昨年は、前年より29人増だったそうです。

 

無罪判決の良い悪いは別にして、警察・検察がキチンとした捜査をし、

冤罪事件を決して起こさないことですね。

冤罪事件を起こそうものなら、無実の罪をその人に着せたわけですから、

司法に対する信頼を損なう行為ですからね。それこそ、裁判員制度どころのはなしではなくなります。

 

といったところで、今日は終わり。また、あした。


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これが出来たところで…… [法律]

憲法を改正するための国民投票を実施するための法案が、

衆議院の憲法調査特別委員会で与党の賛成多数で与党案が可決しました。

この可決によって法案は、衆議院本会議にかけられ明日13日に与党の賛成多数で可決され、

参議院へと送られる見込みです。

明日予定通りに衆院を通過した場合与党は、

週明け16日の参院本会議で与党案の趣旨説明と質疑を行い、

翌17日に参院憲法調査特別委員会で実質審議に入りたい考えとのことです。

そして、5月3日の憲法記念日までに法案を成立させるつもりだそうです。

 

今まで書いてきたことは予定であると同時に、

昭和22年に日本国憲法が施行されて以来始めて改正をするための憲法に定められている

国民投票法が制定されるというだけでこれだけで憲法を改正できるわけではありません。

ハッキリ言って、日本国憲法を改正するための国民投票法を公布・施行したところで

この法律が実際に使われることはないでしょうね。

なぜなら、憲法改正の発議が国会からなされることがないと思うからです。

 

確かに憲法96条に改正の手続について書いてあります。

そこには、

“この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、……”

後半部分と第2項は省略しましたけれどこのように規定されています。

あたくしが、国会が発議することがないと思う理由はこの部分からなんですよ。

“各議院の議員の三分の二以上の賛成”この一文がある限り難しいでしょうね。

与党がこの条文をどう曲解したところで、“各議院の総議員3分の2”を

“各議院の出席議員の3分の2”とは出来ませんからね。

 

それに、現状衆議院では与党が3分の2以上の議席を占めていますけれど、

参議院では過半数は占めてはいるものの3分の2にはほど遠い数字です。

それに、今年は参議院選挙の改選の年ですし、

場合によっては参院では野党が過半数を占めるという事態もあり得ます。

そうなった場合、たとえ衆議院では憲法改正が与党の賛成で可決されたところで、

参議院で否決された場合には、当然憲法改正の発議はなされません。

普通の法律案であれば、参議院で否決されても衆議院で3分の2以上の賛成で再び可決されれば

その法律案は成立となりますが、憲法の場合そういったことは絶対にありません。

だって、憲法96条第1項の規定によって、

両院の総議員の3分の2以上の賛成がなければ国会として

憲法改正の発議が出来ないとしているんですから。

 

再び仮の話しですが、国会から憲法改正の発議がなされた場合の国民投票って

公職選挙法の適用は当然なされませんよね。だって、議員を選ぶ選挙じゃないんですから。

それに選挙権は、18歳以上が対象みたいですし。

でも、憲法改正の問題で過半数の賛成が果たして得られるんでしょうかね?

国民投票法案の中身を見ていないので何とも言えないのですけれど、

過半数の賛成って投票した人の過半数なんですかね?

それとも、有権者の過半数の賛成なんですかね?

この点、憲法にも何の規定がないんですよね。でも、前者を適用するような気がするんですよね。

こういう場合って、為政者は自分に有利なように規定するもんですからね。

もし、国会から憲法改正の発議がなされた場合には、

かなりの確率で憲法は改正されてしまうのでしょうね。それも、時の権力者の有利になるように。

下手すりゃ、日本国の権力者に有利なようにではなく、**が有利なように改正されてしまうかも……。

そうなったら、何のために改正するのかわかりません。

もしも改正をするのであれば、日本国民にとって利益のある改正をするべきですね。

 

といったところで、今日は終わり。また、あした。


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